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2006.09.13

子猫殺しと避妊手術

日本経済新聞夕刊に掲載された、作家の坂東眞砂子さんのコラム「子猫殺し」について、ネット上でもいろいろと議論がまきおこってますね。

坂東さんのコラムを、勝手にまとめさせていただくと

人は他の生き物に対して、避妊手術を行う権利などない。
私は自分の育ててきた猫の「生」の充実を選び、社会に対する責任として子殺しを選択した。

生命の倫理感や道徳的な観点から、いろいろな意見があると思います。
私は猫まんがをライフワークにしている、まんが家です。
そして、放送大学で、動物行動学、行動生態学を専攻している学生でもあります。
地域猫の行動研究をしている立場から

「ネコにとって、不妊手術を施されるのと、産んだ子を殺されることの、どちらが得か?」

という論点でかかせていただくことをご了承ください。

動物行動学の立場から見ると、
「生物は全て、自分の遺伝子を残す(=適応度をあげる)ために、いろいろな行動を選択して行っている。」
という考え方があります。
この考え方からは、ネコに不妊手術を施すことは、ネコは遺伝子を残せずに損してしまうことになります。

それでは、不妊手術を施さない方が、ネコにとって得なのでしょうか?

生まれた子猫をすぐに殺してしまうとなると、話は別だと思います。
ネコは「子を産む行為」そのものが目的ではなく、「子を産んで、自分の遺伝子を残す」ことが目的なので、せっかく子を産んでも、殺されてしまい、遺伝子を残せない親ネコは、まったく得をすることがありません。

不妊手術をして子供を産めないネコと、子を産んだのにもかかわらす子の命をたたれてしまうネコ。
遺伝子を残せないという点では「0(ゼロ)」で、それでは一緒なのではないか? と一見感じます。
しかし出産という行為は、命を削ってする行為(コストがかかる)なので、子を産む行為自体はー(マイナス)になるのではないでしょうか?。
そして、自分の遺伝子が引き継がれて、始めて適応度が+(プラス)になると私は考えます。

よって、

不妊手術を施し、遺伝子を残せないネコは、0(ゼロ)。
子猫を出産しても、遺伝子を残せないネコは、ー(マイナス)。

不妊手術をして、終生きちんとお世話してもらう方が、ネコにとって得なのではないかと、私は思います。

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にゃんこzastugakuノート1+04/01-」カテゴリの記事

コメント

うんうん。最後のご意見、私も同感です。

少し前に私もこの話を聞いたときはショッキングでした!
というか、(これは私の個人的感情ですが)
このような社会的立場の人が公に言うべき事ではない!
と、思いました。

そして。仔猫殺しなど、それこそ人間が行う権利は無い!と思います。なんと、身勝手な「人間の権利」なのでしょうか!

おおもとは、人間が犬や猫をペットとして飼うことを始めたことだと思います。ペットは野生の生物ではありません。
どこまでいっても人間の世界に食い込んでしまってる存在なのだと思います。

そうしておいて、要らないから捨てる。
生まれた子はいらない(坂東眞砂子さんのやってる仔猫殺しはこれと変わらないと私は思います。結果的に)。
そんな勝手な都合で翻弄されるペットたち。
野良猫も人間の作り出したものですよね。

全ては人間がまいた種。
だからこそ、責任をもたなくてはいけないと思うのです。
その責任のひとつに避妊などがあると思うのですが・・・。

なんとも言えないお言葉ですね、仔猫殺し・・・。

いきなり、お邪魔してすみません(^^;;;)


投稿: なおやん | 2006.09.16 00:02

なおやん、コメントどうもありがとうございます〜♪
とっても難しい問題なので、アップしようかとても悩みました・・・・。
率直なご意見をお聞きできて、うれしかったです。
わたしはノラにゃん大好きなので、適正な個体数の野良猫のいる町が好きだったりもします。

投稿: まや | 2006.09.16 01:23

なるほど~。こういう考え方もあったんですよね。
私はハッキリ言って答えが出せませんでした・・・。
感情的には「絶対かわいそう!!」というのが前面に
あったのですが、それが間違った事か正しい事か。
話を突き詰めていくと、毎回最後は「うーん・・・」と
なっちゃってました;;;

でもそうですよね。
子供を産む事は、それだけのリスクがある。
それを乗り越えて誕生させた命を無くしてしまっては、
その大きいリスクを背負った行為が
「無駄」になるんですもんね。

まやぴょんの意見を聞いて、私もちゃんと自分自身に
納得させる事ができました。
ありがとうございます(^^)

投稿: ちはる | 2006.09.16 09:21

はじめまして
「子猫殺し」を翌19日に読んで以来、この問題を考え続けています(偶然ちょうど一月)
このエントリーのUPが9月13日というところがまやさんの悩みが現れていると思いました。

伊澤雅子さんのNHK人間大学「群れる・離れるの動物学」の講座を昔見ていたのを思い出し、伊澤さんで検索しこのブログにたどり着きました。
まやさんが仕事の傍ら動物行動学、行動生態学の勉強をしていらのに頭が下がる思いです。

参考:ぜいりしブログ>群れる・離れるの動物学
http://blog.so-net.ne.jp/furitani/2005-10-13

投稿: e.t. | 2006.09.19 18:02

ちはりん、コメントありがとうございます♪
きっとこの問題に対しては、いろいろな立場から議論すれば「どちらが正しい」という答えはないのかもしれません…。
しかし、自分が行動を起こすために選択しなくちゃな時には
いつもチャートや点数をつけて、自分を納得させようとしてしまいます。
こういう考え方も、人間のエゴなのかなぁ〜? なんて悩んでしまいます〜(--;;

e.t.さま、はじめまして。コメントありがとうございました。
命に関わる問題は、本当にむずかしくて、アップするか悩みました…。
blogも拝見させていただきました。
「群れる・離れるの動物学」は、わたしにとってはバイブルですね〜♪

伊澤雅子先生は、琉球大学で行われた2日間の講義に参加させていただきましたが、とっても興味深い講義でした。
これからも時間を見つけて、ゆるゆる勉強していきたいと思っています〜(^^

投稿: まや | 2006.09.20 00:12

お返事ありがとうございます。伊澤先生はテレビで見て「あ、猫に似ている!」と思って、印象に残っていたのです。おかげですてきなブログに辿り着きました。

メス猫3匹を飼っていること、オス猫は家出してしまったこと、丁度1年違いで同じ新聞の同じコーナーにエッセイを連載をしていたこと(曜日が違うので、担当者は違うそうです)など偶然が重なった女性作家を紹介します。
早坂類さん(歌人・詩人・作家)2005年7月~12月に日経新聞夕刊<プロムナード>欄にエッセイを毎週連載。
しかし、猫の出産に関する対応はずいぶん違います。
早坂さんも最初猫に不妊手術することをためらったそうです。そして3匹の猫に順に一回ずつ出産を経験させ、本人の体調が悪い時期だったのに、あちこち駆けずって全部の子猫の里親を探したそうです。それから親猫たちの不妊手術をしたそうです。

上記新聞の連載で猫を主題にしたエッセイは3つだったと思います。そのうち一つがまやさんの05/1/11「おひげがこげるち」に関連した内容なのでそちらにコメントしたいと思います。

参考:エッセイ、その他の記録の場として|早坂類
http://d.hatena.ne.jp/hayasaka_rui/20060826

投稿: e.t. | 2006.09.22 17:25

e.t.さま、ステキなエッセイのご紹介ありがとうございました。
とても興味深い内容で、考えさせられました。
わたしも、ネコ本来の生殖機能を、人間の勝手に奪ってしまっていいとは思いません。
しかし、特殊な「家畜」として人の居住圏に生息しているネコは、倫理的な問題は差し置き、やはり人が繁殖を管理する「責任」があるのではないかと考えます。

早坂さんがかかれたように、産まれた子猫の里親を探すのは、並大抵なことではありません。
またノラネコや捨てられたネコなど、増えすぎた個体が人の居住圏(ノラネコ)や近隣の里山(ノネコ)に越境すると、肉食獣としてニッチの空きに侵入し、その地域の生態系を破壊し、種の絶滅をまねく脅威になります。

外来種のカブトムシやクワガタなどの放虫により、実際に日本のカブトムシが淘汰され、絶滅の危機に瀕しています。
古くから大陸が分かれ、有袋類など独特の進化をとげたオーストラリアでは、肉食獣の補食者が少なく、種としてのイエネコの侵入により、一部の固有種の個体数の減少をまねき、絶滅が危惧されているようです。

ネコ好きな個人としては、ネコちゃんみ〜んなが自由で幸せになってほしい。
でもひとりの人間としては、自分のかかわるネコの避妊手術を施す責任がある。
そんな矛盾をかかえながらも、ネコたちを見守っていきたいと思っています。

投稿: まや | 2006.10.11 16:00

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